CONTENTS people#30 安藤哲也

子育てによって育まれる地域社会との「出会い」

子どもを育てることは、特に地域社会とのさまざまな出会いを生むチャンス。
それはママだけじゃなくパパもしかり。父親として楽しむ生き方を提唱するNPO法人ファザーリング・ジャパンの代表・安藤哲也さんから、すべての親へのメッセージ。

日本でお父さんを元気にするために何が必要か? それは本人の意識改革だけでなく、父親としての役割を発揮できる「居場所」をたくさん作ってあげること。それは職場や家庭だけではない。実は「地域」が大事だと安藤さんは言う。

赤ちゃんまでは家庭の中の育児がメイン。しかし3歳にもなれば、幼稚園や保育園、また小学校などのコミュニティーに親は出会う。「その中で、誰かが何かをしてくれるのを待っているのではなくて、自分が活性化のためのエンジンになってみる。具体的に言えば、PTAなどの役員がいい。僕は、保育園の父母会長やPTA会長を経験していますが、顔を覚えてもらえるだけでなく、学校や地域の課題解決に尽力するうちにコミュニティーに愛着が湧いてきました」。

また、近所の子どもを叱れるおじさんになってほしいとも。「僕が小さい頃はそんな存在がいたんですけど、今はそういうナナメの関係を持てる大人が地域にいない。モデルが少なすぎるから子どもは大人の『多様性』を学べず、画一的な価値観・生き方しかできなくなってきてるんじゃないかな?」。

「笑わない子どもと、その後ろにいる笑わない親たちを笑わせたい」
そん な 想いから「パパ’s絵本プロジェクト」を発足。現在の活動となってからも続けている、読み聞かせイベントのヒトコマ。安藤さんがページをめくるたび、セリフを読むたびに子どもたちの視線は釘づけ!
中には、大きな声で問いかけに応える子、大声で笑う子も。絵本はお父さんだから
こそ選べる、バカバカしくてナンセンスな本をチョイスすることが多い

安藤さんがよくセミナーで言うのは、家庭だけじゃなく自分が地域に出ることで、子どもの安全につながるということ。「たとえば、近所の商店街で買い物をすると、お店のおじちゃんおばちゃんは、子どもの顔を覚えてくれるから、登下校の時も見守ってくれる。だから父親は安心です。逆にそこで父親が意識すべきは、すべてを大型スーパーで済ませるのではなく、地元の商店街があればそこで買い物をする。地域経済が潤えば商店街は生きながらえて、地域の安全性はいつまでも担保される。またそうした安全安心な地域コミュニティーができれば、『子育てがしやすい街』というブランドを獲得でき、お父さんがローンで買った家の資産価値は下がらない。父親が地域に関わることで、実はそういうメリットも生まれるわけです」。

親になることで、さらに新たな視点で地域社会を見るきっかけにもなる。「普段一人で歩いていると段差も気にならないけど、ベビーカーを押して歩くと、その障害が分かる。でも普通はそう感じて終わり。そうじゃなくて、ベビーカーを押して役所に行って粘り強く要望すれば、段差をなくすことも実はできるのです。そうやって、問題意識を持ちアクションを起こすことで、自分の街に安全マップが作られていく」。

行動によって、地域が暮らしやすい社会に変わっていく。「自分が市民として役割を果たすということです。つまり『子育ては街育て』。そして子どもができたってことは、地域にデビューできる『入場券』を手にしたということなんです」。

そんな父親ならではの特権や楽しさを伝えたくて、講演やセミナーで全国を回る安藤さん。「意識の高い父親は確実に増えてきている気がします。一人一人のお父さんも多様で、いろんな趣味や芸を持ってる。そして全国に点在する『目覚めた父親たち』を線で結んで面にするのが、まあ僕の仕事かな」。

この日は新潟でラジオ取材と絵本のイベント、パネルディスカッションを行い、共演の絵本作家サトシンさんと少し談笑した後、まもなく湯沢へ移動。かまくら作りのイベントに駆けつけるという超多忙な日々を送る。

この日は新潟でラジオ取材と絵本のイベント、パネルディスカッションを行い、共演の絵本作家サトシンさんと少し談笑した後、まもなく湯沢へ移動。かまくら作りのイベントに駆けつけるという超多忙な日々を送る。

安藤哲也 (あんどう・てつや)

安藤哲也 (あんどう・てつや)

1962年東京生まれ。10歳、7歳、0歳の2男1女の父親。大学卒業後、出版社、書店、IT企業などの転職を経て、2006年11月父親の育児支援、自立支援事業を展開するNPO法人ファザーリング・ジャパンを立ち上げ、代表に選出、就任。地域活動では、娘と息子の通う小学校のPTA会長を務めるほか、「パパ’s絵本プロジェクト」のメンバーとして、全国の書店、図書館、自治体等を飛び回る。著書として『パパの極意』(日本放送出版協会)、また「パパのルール101」(合同出版株式会社)が4月刊行予定。

http://www.fathering.jp/

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