CONTENTS people#28 小さな森の音楽会

森の音楽家たちが紡ぎ出す、音色という個性のハーモニー♪

大阪北部に位置する箕面の森の奥深く。 夜な夜な音楽家たちが集うマンションがあるという。 そこで彼らが紡ぎ出す色は今夜も思い思いのハーモニーを重ねていく……。

「ワン、トウー、スリー、フォー!」。カウントをとる声が聞こえたかと思うと、いきなりアップテンポの激しいピアノの音が響き出す。それを追うように、カホンと呼ばれる木製の箱型打楽器が、アグレッシヴなリズムを刻んで暴れ出した。2つの楽器は、時には同じ旋律を歌い、時にはけん制しあい、感情的に官能的に共鳴しあう。なんという迫力!

ピアノを弾いているのは千田なつみさん。アルバイトをしながらバーやライヴハウスで演奏をしている。カホン担当のシステムエンジニア・酒井謙太さんとは会うのは3度目だという。間の取り方、息の合わせ方を目の当たりにすると、そんなことが嘘のよう。
「みんなここで知り合う人ばかりですよ。最近ではセッションが盛り上がって、一緒にオーディションに挑戦する人もでてきてます。楽器も、音楽のジャンルも、何の決まりもないんです。日頃の練習の成果を発表したい人なら誰でもOK」

と語るのは中井 貢さん。彼は今回お邪魔した「小さな森の音楽会in箕面」主宰であり、その練習場となっているマンションARDENT. STUDIOのオーナーでもある。自身もトランペッターとしてこの会に毎回参加。楽器を始めて5年、それまでは音楽なんてほとんど興味がなかったのだそう。

初対面でも初参加でも大歓迎! 楽器や好きな音楽の話から自然におしゃべりが弾み、新しいセッションが次々と誕生していくのだ。


初対面でも初参加でも大歓迎! 楽器や好きな音楽の話から自然におしゃべりが弾み、新しいセッションが次々と誕生していくのだ。

「5年前に賃貸マンション経営を始めたんですが、他にない特徴のある物件を作りたくて思いついたのがこのマンション。演奏家が住みやすい、防音・音響設備のしっかりした建物にしたかったんです。で、できあがったらまず一番に自分が試したくなって、それからトランペットを習い始めたらすっかりはまっちゃってね(笑)」

中井さんは建物の1部屋を共用スペースとし、入居者はもちろん、トランペットからギター、ピアノ、カホン、ディジュリドゥという珍しい楽器に至るまで!さまざまな楽器を操る音楽家たちが練習・発表できる場として開放。アマチュア、セミプロを問わず、大きなステージに立つ前に、気心知れた仲間の前で演奏することで、さらに個々の技術が向上する、という目的もある。

「ご飯やお菓子食べたり、お酒飲んだり……リラックスした雰囲気で自由に、何の縛りもなく、上手いも下手も関係なく、純粋に音楽を楽しめる空間ってそうそうないでしょ? それに大人になってからできる仲間っていうのも貴重ですよね」

(左)ディジュリドゥというオーストラリア・アボリジニの伝統楽器を吹くカメラマンの古川英正さん。シロアリが食べたユーカリの木は実にスペーシーな音!自身で竹製のディジュリドゥを製作、販売もしている。

(左)ディジュリドゥというオーストラリア・アボリジニの伝統楽器を吹くカメラマンの古川英正さん。シロアリが食べたユーカリの木は実にスペーシーな音!自身で竹製のディジュリドゥを製作、販売もしている。

(右)介護士の玉田晴美さんはトロンボーンの他にブリキ製三線(さんしん・沖縄の三味線)を披露。

(右)介護士の玉田晴美さんはトロンボーンの他にブリキ製三線(さんしん・沖縄の三味線)を披露。

こぢんまりとしたメゾネットの中は演奏家たちの熱気で一杯。何の制約もない、自由なキャンバスに向かって音楽家たちは今晩も、思い思いの音色を重ね続けたのだった。

中井 貢 (なかい・みつぐ)

中井 貢 (なかい・みつぐ)

「小さな森の音楽会in箕面」主宰。ARDENT. STUDIOオーナー。トランペットを習い始めて5年。その奥深さにますますはまる一方だそう。「一番楽しんでるのは僕かも(笑)。仕事も趣味も全部楽しいことしかやってません」

ARDENT. STUDIO (アーデン.ステューディオ)

ARDENT. STUDIO (アーデン.ステューディオ)

大阪府箕面市所在のマンション。入居者全員が音楽家。最新の防音、音響設備はほかに例を見ない。ARDENT=「情熱の」。もともとはARDEN(イギリス北部の森)のスペル間違いが素敵なダブルミーニングを作り出した。
http://www.ardent-s.com/

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