
日々の食事を記録し、自らの食べてきた道のりを知ることは面白く、とても大切。
今はそんな「ごはんブログ」が全盛だけど、かれこれ20年以上も続けている先駆けが
こぐれひでこさん。彼女の食に対する力の抜けた、軽やかなスタンスに学ぶこと。
私の場合はそれが仕事になってますけれど、そもそも食べることは好きで。だいたい三食、食べたいものを食べています。なるべく家で作ろうとか、あまり決めつけすぎないで、その日の気分で、外食もするし、家でも作りますし。ちなみに、昨日は稚鮎の炊き込みごはんでした。
たとえばスーパーに行っても、食材はあんまり見分けをしないでさっさと買っちゃうんです。とくに野菜は、今お百姓さんが大変だから、値段のことを考えるの はやめようと思って。高いなーと思うんだったら、その分、少なく食べればいいじゃない(笑)。おいしいものって基本的に値段が高いんですよね。それは作る 人たちが手をかけている場合が多いから。そう考えると、もうちょっと農家の人たちにたくさん収入が入って、生き甲斐を持って楽しい農業をしてもらわないと ダメなんじゃないかと思うんですよ。
農家の方たちと話をする機会も多いんですけど、すごく真剣にやってる人たちも結構い るんですよね。さすがに農薬バンバン使う人は減ってはきてますけど、それでも少しは使ってる人がたくさんいる中で、まったく使わずに野菜を育てる人たちの 作業って大変なわけですよ。そういうことを考えると、食べる方もちゃんと受けて立たないと、と思って。もし何も表示がない野菜と無農薬があって、値段が 50%高い場合は、高い方を買おうと思っています。味はだからって必ずおいしいとは限らないけれど、これは農家さんへの応援のつもり。
うちは、からだのためとかじゃなくて、昔からめちゃくちゃ野菜食いですね。家で夫がわずかばかりの野菜を作っています。とてもそんなものではまかなえませ んけど。ほんのちょっとしか作っていなくても、オクラなんてすごい成長率なんですよ。放っておくと硬くなってしまうし、そういう苦労もあるけれど、ただ花 を育てるよりは、食べられるんだし。野菜は、葉っぱも花の美しさもなかなかよろしくて、きれいなんですよ。やっぱり自分たちで育てたものはおいしいです ね。たとえ味がおいしくなくても、愛おしいからおいしい。それはまた別の喜びかもしれないけれど。
外食のときに食べたものや、外国で食べたものを家でマネして作ったりもします。おいしかったものを記憶の中に留めておくだけでなく、実践しようと思っています。それは、研究することが面白いから。
私、料理は図画工作だと思ってるのね。素材があってまとめて作る色もあれば、味の形や盛りつけだってあるから楽しくて、食べればおいしいし。冷蔵庫に何が 残ってるから、何が作れるかとか。毎日課題はあるんですよ。全然出てこないときには、どこに食べに行こう、とか。実にフレキシブルですし、最終的には、楽 しくて、おいしい。それをブログに記録する。結果的にはそのすべてが一環性のある作業ですよね、私にとっては全部繋がってるんです。

『こぐれひでこのごはん日記 春夏篇』
こぐれひでこ/早川書房
「cafeglobe.com」の『こぐれひでこのごはん日記』から、春夏の記録を抜粋。簡単に作れるレシピや、行きつけのお店情報に加え、旅の日記に書き下ろしエッセイなど、盛りだくさんの内容。
こぐれ・ひでこ
イラストレーター、エッセイスト。「今日の料理」「おしゃれ工房」などTV番組に出演。毎日食べたものを写真付きでリアルに楽しく綴る「ごはん日記」が女性向け情報サイト「cafeglobe.com」で好評連載中。また『こぐれひでこのおいしい画帳』『パリを覗こう路線Busで巡る旅』『ふたりでイタリア』『こぐれひでこのベトナム332048歩』など、著書多数。