CONTENTS people#10 小林崇

なくてもいいことをなくしちゃったら楽しくない

“ツリーハウス”と聞いて、みんなは何を思い浮かべる?
トムソーヤの冒険? それともゲゲゲの鬼太郎 !? ともあれそこにこめられているのは、
現実より少し宙に浮いたヒミツの場所。誰もが夢中になれる遊びゴコロの象徴のようなもの。
ツリーハウスクリエイターとして、その魅力を世に広める小林崇さんに、
playful mindを持って生きる、その心がけを教えていただきました。

小さい頃から、カテゴリに入れられたり決められることに抵抗があって。何かを決めるときには、こっちに行った方が面白い だろうっていうことをずっと選択してきたんですよ。その先のことは考えなかったけど、なるべく短い時間でパッと思いついた、楽しそうな方に行くのが信条。 選んだ道の途中に坂があったりすればしょうがないなと思うけど。そもそも、遊び人なんですよ。遊び人って言われるのが全然嫌じゃない。

年をとると、自分のなかにある“子どもの心”みたいなものがなくなってくる。もともとは誰にでもあるけど、フタを閉めたり、服を着たりすることが多すぎる と、その子を出すことで矛盾してくるから辛いんだよね。閉めてた方がラクなこともあって、つい鍵がかかっちゃう。大変だけど、俺はいつも出してる。人生一 回しかないじゃないですか、男か女か生まれる日も国も分からなくて、いつ死んで行くのかも分からない。そんなに儚いのに、何を気にするんだろう。思いっき り生きるしかないかなぁって思う。だからやっぱり楽しいように、きれいだなと思うほうに生きたい。

ただ、家族ができたことで、自分の生きざまみたいなものとどう折り合いをつけるか未だに悩んでいて。移動も多く身近で子どもの成長を見られない淋しさもあ るけど、そんな親父がいたんだって後で思い出すのもいいかなって。なんでわざわざ木の上にそんなことをしたのか、どういう人生だったのかっていうのは、後 で追いかけることはできるから。

ツリーハウスは、どうしても伝えなきゃいけないことや、ゴールもない。そういうことに捕われないことが自分にとってのツ リーハウス。見る人がいろんな見方をすれば良くて、それがエコだって言えばそれでオッケーだし、子どもたちの教育でも、ただ楽しいだけでも、逆に木に穴な んか開けてかわいそうじゃないですかっていう人がいてもいい。見る人さえも自由にするからツリーハウスに憧れたし、いわゆる建築物じゃなくて、制約がない から楽しい。住むための家だったらしなきゃいけないことが出てくるけど、ツリーハウスは窓の形も床が歪んでいても全部自由。だからこの地面の上が現実の社 会だとしたら、そこからファンタジーの世界へ上がる途中が階段で。中に入っても、えーっ!て思えるような仕掛けをいくつか作ってあげたい。

無駄で実用的じゃないところの素敵さがツリーハウスで。中に入ってきれいな景色のなかで絵をみんなが共有したり、創作していく。砂浜でお城作るのといっ しょですよ。もしかしたら壊れちゃうかもしれないけど、そこは一生懸命やるんですよ。そういうふうに生きてきたから、今たまたま結果として、ツリーハウス とめぐり会えてラッキーだったけど、全員がそれを見つける権利があるというか、見つけられるものを自分の中に持っていると思う。実は自分の中に。抜く部 分、無駄な部分、なくてもいいことをなくしちゃったら楽しくないしね。

小林崇 (こばやし・たかし)

1957年静岡 県生まれ。ツリーハウスクリエイター。 スタイルとデザイン、感性をコンセプトにしたツリーハウスを創作する日本のツリーハウス第一人者。沖縄から北海道まで、各地の風土・樹木に適したツリーハ ウスの制作にあたっている。また、東京・原宿の木造アパートを、路地裏に立つヒマラヤスギを取り囲むような空間に改装。現在は、ツリーハウスの情報を発信 し、グッズ購入やLibraryとしても楽しめるサロン[HIDEAWAY]を運営。

http://www.treehouse.jp/

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